マンションの大規模修繕工事は、建物の耐久性を維持し、資産価値を守るために不可欠なプロセスです。
特に、各住戸に付属するベランダは、日常的に使用する空間であるため、工事によってどのように変化し、どのような対応が必要になるのか、事前に把握しておくことが大切です。
計画の段階から、居住者一人ひとりの理解と協力が、工事を円滑に進める鍵となります。
マンション大規模修繕でベランダはどうなる
ベランダは共有部分であること
マンションのベランダは、各居住者が専有して使用する権利(専有使用権)が認められていますが、法的には建物の共有部分に該当します。
そのため、マンション全体の維持管理を目的とした大規模修繕工事の計画に含まれるのが一般的です。
所有権は管理組合にあり、居住者は管理規約に基づき、その使用範囲内で利用します。
工事の必要性が生じた場合、個々の居住者が工事を拒否することはできません。
工事内容と影響範囲
大規模修繕工事におけるベランダの主な工事内容には、外壁タイルの補修やシーリング材の打ち替え、高圧洗浄、塗装、そして防水工事などがあります。
これらの作業により、ベランダの耐久性や防水性が向上します。
しかし、コンクリートを削る作業に伴う騒音やホコリの発生、塗装や防水材の乾燥期間中は、洗濯物を干したり、換気のために窓を開けたりすることが制限される場合があります。
工事範囲はベランダの床や壁面、手すり、隔て板などが中心となります。
事前準備の必要性
工事をスムーズに進めるためには、居住者による事前の準備が不可欠です。
工事当日になって慌てないよう、事前に通知されるスケジュールを確認し、指示された期日までにバルコニーに置かれている私物を片付ける必要があります。
これには、植木鉢や物干し竿、装飾品などが含まれます。
また、シーリング工事などの関係で、網戸の取り外しと室内での保管が求められる場合もあります。
これらの準備は、工事作業の安全確保や、私物が汚れたり破損したりするのを防ぐために重要です。

ベランダの荷物と網戸の準備
荷物は室内へ移動させる
大規模修繕工事の期間中、ベランダに置かれている私物は原則としてすべて室内へ移動させる必要があります。
鉢植え、物干し台、ガーデニング用品、タイルカーペット、置物などがこれに該当します。
エアコンの室外機など、一部例外的にそのままにしておけるものもありますが、事前に管理組合や施工業者からの指示を確認することが重要です。
室内への移動が難しい場合は、トランクルームの利用や、知人・親族に一時的に預かってもらうといった方法も検討できます。
網戸は各自で取り外す
ベランダ周辺のサッシ廻りでは、シーリング工事などが行われることがあります。
これらの作業を効率的かつ安全に行うため、網戸は工事着工前に居住者自身で取り外して保管することが一般的です。
多くの網戸は、室内の窓枠にある「外れ止め」や「脱輪防止機構」を操作することで取り外すことができます。
取り外し方がわからない場合は、取扱説明書を確認するか、施工業者や管理組合に問い合わせましょう。
取り外した網戸は、紛失や破損を防ぐために、指定の袋に入れるか、安全な場所で保管してください。
撤去処分は自己負担
ベランダに置かれていた不要な物品の撤去や処分にかかる費用は、原則として居住者負担となります。
管理規約では、避難経路としての機能を妨げないよう、ベランダに置けるものの種類や量が定められていることがほとんどです。
普段から、処分に困るような大型の家具や、移動が困難なものを置かないように心がけることが大切です。
もし、どうしても自分で処分できないものがある場合は、施工業者に相談すると、専門業者を紹介してもらえたり、一部有償で対応してもらえたりする場合があります。

大規模修繕中のベランダ使用制限
工事期間は立ち入り禁止
大規模修繕工事では、ベランダの床面への防水工事や塗装工事などが行われるため、工事期間中は原則としてベランダへの立ち入りが禁止されることがほとんどです。
これは、作業員の安全確保、塗料や資材の飛散、そして工事の品質を保つために必要な措置です。
立ち入り禁止期間は工事内容によって異なりますが、一般的には数日から1週間程度、場合によってはそれ以上続くこともあります。
詳細なスケジュールについては、工事説明会や掲示などで事前に確認し、理解しておくことが大切です。
洗濯物干しや換気の制限
工事期間中は、ベランダへの立ち入りが制限されるだけでなく、洗濯物を干すこともできなくなります。
これは、作業スペースの確保、塗料やホコリの付着、落下物などの危険があるためです。
また、窓を閉めたままの作業や、養生シートで覆われることによって、換気も制限されることがあります。
工事期間中は、普段とは異なる生活環境になることを理解し、室内干しや、作業箇所が少ない期間を選んで換気を行うなどの工夫が必要になります。
工事終了後の利用再開時期
ベランダでの工事が完了した後も、すぐに通常通り利用できるようになるわけではありません。
防水材や塗料が完全に乾燥するまでの養生期間や、工事によって生じたホコリなどを清掃する時間が必要です。
そのため、工事終了の告知があった後も、数日間は利用が制限されることがあります。
居住者がベランダに荷物を戻せるようになるのは、工事完了から数週間後、あるいは数ヶ月後になるケースもあります。
利用再開の正確な時期は、管理組合や施工業者からのアナウンスを必ず確認するようにしましょう。
まとめ
マンションの大規模修繕工事におけるベランダは、共有部分でありながら居住者が日常的に利用する空間であるため、工事内容によって居住者の協力が不可欠となります。
バルコニーへの私物の移動や網戸の取り外し、そして工事期間中の立ち入りや洗濯物干しに関する制限など、事前に理解しておくべき事項が多岐にわたります。
これらの準備や制約を把握し、計画的に対応することで、工事を円滑に進めるだけでなく、居住者自身の生活への影響を最小限に抑えることができます。
工事のお知らせを注意深く確認し、管理組合や施工業者と連携することが、快適なマンションライフを維持するための鍵となります。