戸建て住宅の長期的な維持管理や資産価値の維持・向上は、多くの家主にとって重要な関心事です。
特に、住み慣れた我が家を長く快適に保つためには、適切な時期のメンテナンスが不可欠となります。
近年、建築基準法や省エネ基準に関する法改正が予定されており、大規模な改修工事を検討されている方にとって、その手続きや基準について正確な情報を把握しておくことが重要になってきています。
戸建て大規模修繕とは
戸建住宅における大規模修繕は、建物の老朽化に対応し、その性能や機能を維持・向上させるための工事を指します。
リフォームが建物の構造や意匠を大きく変更し、新築に近い状態に戻すことを目指すのに対し、大規模修繕は既存の建物を活かしながら、傷んだ部分の補修や機能回復、耐久性向上などを目的とします。
これにより、建物の資産価値を維持・向上させることが期待できます。
リフォームとの違い
大規模修繕が、建物の劣化部分の補修や機能回復、耐久性向上などを中心に行われるのに対し、リフォームは建物の構造やデザインなどを大きく変更し、新築時の状態に近づけたり、新たな機能を追加したりする工事を指します。
大規模修繕は、あくまで既存の建物を維持・保全し、その価値を高めることを目的としています。
建物の資産価値向上目的
戸建て住宅の大規模修繕は、単に建物の老朽化を防ぐだけでなく、将来的な資産価値の維持・向上にも寄与します。
定期的なメンテナンスや適切な修繕を行うことで、建物の耐久性が高まり、快適な居住空間が保たれます。
これは、将来的な売却や相続の際にも有利に働く可能性があります。

戸建て大規模修繕で建築確認は必要か
2025年4月1日より、建築基準法の一部が改正され、これまで建築確認申請が不要だった一部の木造戸建住宅における大規模な改修工事も、建築確認の対象となる場合があります。
2025年4月からの法改正
今回の建築基準法および建築物省エネ法の改正により、2025年4月1日以降に着工する工事から、建築確認や省エネ基準への適合義務に関する手続きが変更されます。
特に、これまで建築確認が不要とされていた「旧4号建築物」に該当する木造戸建住宅などが、改正後は「新2号建築物」の定義に含まれ、一定規模以上の改修工事で建築確認が必要となるケースが出てきます。
主要構造部の過半改修が鍵
建築確認が必要となるかどうかの判断基準は、主に建築物の「主要構造部」(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の1種類以上について、その過半の改修が行われるかどうかです。
主要構造部ごとに、改修される面積や本数、数量などが全体に対して過半に及ぶかどうかが審査のポイントとなります。
確認申請が不要なケース
ただし、すべての改修工事で建築確認申請が必要になるわけではありません。
キッチン、トイレ、浴室といった水回りのみのリフォーム、バリアフリー化のための手すりやスロープの設置工事など、建物の構造に大きな影響を与えないと判断される範囲の工事については、引き続き建築確認申請は不要です。

戸建て改修が大規模修繕と判断される基準
改修工事が「大規模な修繕」または「大規模な模様替」に該当し、建築確認が必要となるかの判断は、具体的にどの部分をどれだけ改修するかによります。
屋根外壁の改修範囲
屋根の改修では、屋根ふき材のみの交換や、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねるカバー工法は、原則として大規模修繕には該当しないとされています。
ただし、屋根を構成する全ての材を改修し、その面積が総水平投影面積の過半に及ぶ場合は該当する可能性があります。
外壁についても、外装材のみの改修や、外壁の内側からの断熱改修などは該当しないとされますが、外壁全体を改修するなど、改修範囲が外壁の全てに及び、その面積が総面積の過半に及ぶ場合は該当し得ます。
床柱梁階段の改修
床の改修では、仕上げ材のみの交換や、既存仕上げ材の上への重ね張りは該当しません。
しかし、根太や構造用合板に及ぶような改修が、床の総水平投影面積の過半に及ぶ場合は対象となり得ます。
階段の改修も、一部の段のみの補修や仕上げ材の重ね張りは該当しませんが、各階ごとの階段の総数に対して過半の段を架け替える場合は建築確認が必要となります。
柱や梁についても、その過半の交換や補強が確認の対象となる場合があります。
省エネ基準適合義務化
2025年4月1日以降に着工する原則全ての住宅・建築物において、省エネ基準への適合が義務付けられます。
これには増改築工事も含まれ、増改築を行う部分が省エネ基準に適合する必要があります。
大規模修繕に該当するような改修工事と同時に、省エネ性能の向上を目的とした工事を行う場合も、この基準が適用されることになります。
まとめ
戸建て住宅の大規模修繕は、建物の長寿命化と資産価値の維持・向上に不可欠な工事です。
リフォームとは異なり、既存の建物を活かしながら、性能や機能を回復・向上させることを目的とします。
2025年4月からの法改正により、建物の主要構造部の過半に及ぶ大規模な改修工事には建築確認申請が必要となるケースが増加します。
それに伴い、省エネ基準への適合も原則義務化されます。
これらの法制度の変更点を理解し、ご自宅の状況に合わせて計画的にメンテナンスを行うことが、長期的な安心と快適な暮らしにつながります。