建物の不意な雨漏りは、放置すると建材の劣化を早め、快適な住環境を損なう原因となります。
雨漏りの原因を特定するためには、建物の構造や状態を正確に把握することが不可欠です。
近年、建物の表面温度を可視化する「赤外線調査」が、雨漏りの原因究明に有効な手段として注目されています。
この調査方法で、建物の隠れた問題をどのように発見できるのでしょうか。
今回は、赤外線調査の具体的な方法や、そのメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
赤外線調査で雨漏りの原因はわかるのか
熱画像で建物の温度差を検出する
赤外線調査では、特殊なカメラで建物の表面から放射される赤外線を捉え、その温度分布を「熱画像」として表示します。
この熱画像においては、温度の違いが色の差として現れるため、建物表面に存在する温度差を視覚的に把握することができます。
雨漏りが発生している箇所は、周囲の健康な部分と比較して、水分の影響により温度が異なって現れることがあり、これが原因箇所特定の手がかりとなります。
複合的な分析で雨漏り箇所を特定する
赤外線カメラが捉える熱画像は、あくまで建物の表面温度を示しています。
そのため、雨漏りによる温度差なのか、それとも太陽光の当たり具合や建材の特性、外気温などの外的要因による温度差なのかを正確に判断するには、専門的な知識に基づいた複合的な分析が不可欠です。
建物の構造、外部・内部の温度環境、使用されている材料の特性などを総合的に考慮し、熱画像の温度差の原因が雨水によるものかを慎重に判断していくことで、雨漏り箇所を特定していきます。

赤外線調査にはどんなメリット・デメリットがあるのか
破壊せずに雨漏りの原因箇所を特定できる
赤外線調査の大きなメリットの一つは、建物の壁や天井などを破壊することなく、雨漏りの原因箇所を特定できる点です。
専門的な機器を用いることで、建物の外側や内側から非接触で表面温度を計測し、隠れた水分の浸入箇所や漏洩エリアの特定が可能になります。
これにより、調査にかかる時間や手間、そしてそれに伴う経済的な負担を軽減することができます。
専門知識がないと誤診の可能性がある
赤外線調査は非破壊で原因を特定できる反面、専門知識がないと誤診につながる可能性があるというデメリットも存在します。
熱画像に現れる温度差は、雨漏りだけでなく、日射の影響、外壁材の材質、断熱材の有無、さらにはその日の天候や時間帯といった様々な要因によって生じます。
これらの要因を正確に理解し、雨漏りによるものかどうかを的確に判断するには、建物の構造や建材、雨漏りのメカニズムに関する深い知識と、多くの経験を持つ専門の調査員が不可欠です。
調査員の技量によって、調査結果の精度が大きく左右されることがあります。

赤外線調査で雨漏り以外に何がわかるのか
断熱材の欠損や壁内構造を確認できる
赤外線調査は、雨漏りの原因特定だけでなく、建物の断熱性能に関する情報も得ることができます。
建物内外の温度差がある状況下では、断熱材が施工されていない箇所や、断熱性能が低い部分は、周辺と異なる温度として熱画像に現れることがあります。
また、壁内部の構造材である筋交いの有無なども、わずかな温度差として検出される場合があり、建物の構造を非破壊で把握する一助となります。
表面結露の有無を把握できる
建物内外の温度差が大きい環境では、壁や天井などの表面に結露が発生することがあります。
結露した部分は水の温度となるため、周囲の温度と異なり、熱画像上でその存在を捉えることが可能です。
表面結露は、初期段階では大きな問題に見えなくても、放置すると木材の腐朽などを引き起こす原因となり得ます。
赤外線調査によって表面結露の有無を把握することで、早期の対策につなげることができます。
まとめ
赤外線調査は、建物の表面温度を熱画像として捉え、雨漏りの原因箇所を特定する有力な手段です。
建物を破壊せずに隠れた問題を把握できる点が大きなメリットです。
しかし、熱画像は表面温度を示すもので、外的要因と雨漏りによる温度差を正確に区別するには、専門知識と経験が不可欠です。
調査員の技量で結果が左右され、誤診のリスクもあります。
専門家による的確な分析があってこそ、赤外線調査は雨漏りだけでなく、断熱材の状況や結露の有無といった建物の隠れた問題の発見にも役立ちます。