マンションやビルなどの大規模修繕は、高額な費用がかかるため、計画段階から入念な準備が必要です。
しかし、実際に修繕工事が始まる際には、当初の見積もりには含まれていなかった追加費用が発生することが少なくありません。
その原因や金額、そして追加費用を抑えるための対策について、詳しく見ていきましょう。
大規模修繕で発生する追加費用
想定外の劣化や損傷による追加工事費用
大規模修繕工事では、事前に調査を行っても、建物の解体や改修を進める過程で、予想を超える劣化や損傷が発見されることがあります。
例えば、外壁の調査では表面的なひび割れしか確認できなかったものの、実際には内部まで腐食が進んでいた、といったケースです。
このような想定外の劣化や損傷は、追加工事費用として発生し、工事全体のスケジュールにも影響を与える可能性があります。
例えば、築30年のマンションで外壁調査の結果、ひび割れが予想以上に進んでおり、当初計画ではなかった補修が必要となり、追加費用として約300万円かかった、という事例もあります。
これは、建物の老朽化の程度や、調査方法の精度によって大きく変動します。
設計変更や仕様変更に伴う追加費用
当初の計画から設計変更や仕様変更を行う場合も、追加費用が発生します。
これは、住民からの要望や、工事の進捗状況、あるいは発見された不具合への対応など、様々な要因が考えられます。
例えば、当初は予定されていなかった最新の断熱材を使用することで費用が100万円増加したり、より耐久性の高い建材に変更することで、50万円の追加費用が発生するといったケースがあります。
これらの変更は、工事の質向上に繋がる場合もありますが、事前に十分な協議と合意形成が重要です。
消費税や物価上昇による追加費用
大規模修繕工事は、長期にわたる場合が多く、工事期間中に消費税率が変更されたり、資材価格や人件費が上昇したりすることで、当初の見積もりと実際の費用に差が生じる可能性があります。
これは、契約時に予め考慮されることもありますが、急激な物価上昇などは予測困難なため、追加費用として発生することがあります。
例えば、工事期間中に資材価格が10%上昇した場合、総工事費の10%に相当する追加費用が発生する可能性も考えられます。
住民からの追加要望による費用
工事の進捗状況を見ながら、住民から追加の要望が出されるケースもあります。
例えば、共用部分の設備の更新や、外構の改修など、当初の計画には含まれていなかった要望です。
これらの要望は、住民の快適性向上に繋がる場合もありますが、追加費用として発生するため、事前に住民との合意形成が不可欠です。
例えば、エレベーターの更新を住民から要望された場合、数百万円規模の追加費用が発生する可能性があります。

追加費用の相場はどれくらい?
劣化状況や建物の規模による費用の変動
追加費用は、建物の劣化状況や規模によって大きく変動します。
築年数が古く、劣化が激しい建物ほど、想定外の修繕が必要となる可能性が高く、費用も増加する傾向にあります。
また、建物の規模が大きいほど、工事費用全体も大きくなるため、追加費用も増加する可能性があります。
追加工事の内容による費用の違い
追加工事の内容によっても費用は大きく異なります。
例えば、外壁の補修であれば数十万円から数百万円、エレベーターの交換であれば数百万円から数千万円といったように、工事の内容によって費用は大きく変動します。

大規模修繕の追加費用を抑えるには?
綿密な事前の調査と計画
追加費用を抑えるためには、まず綿密な事前調査と計画が重要です。
建物の劣化状況を正確に把握し、必要な修繕内容を詳細に計画することで、想定外の事態を減らすことができます。
また、修繕計画には、不測の事態に備えた予備費を計上することも重要です。
修繕計画書の内容確認と専門家への相談
修繕計画書の内容をしっかりと確認し、不明な点があれば専門家に相談しましょう。
専門家のアドバイスを受けることで、適切な修繕計画を立て、追加費用を抑えることができます。
まとめ
大規模修繕における追加費用は、想定外の劣化、設計変更、物価上昇、住民要望など、様々な要因によって発生します。
その金額は、建物の状態や工事内容によって大きく変動するため、綿密な事前調査、計画、専門家への相談が不可欠です。
修繕計画書の内容を十分に理解し、専門家と連携することで、追加費用を最小限に抑え、安心できる大規模修繕を進めることが可能です。