大規模修繕工事は、マンションにとって大きなイベントであり、同時に防犯上のリスクが高まる時期でもあります。
高価な資材や設備が置かれる現場は、残念ながら窃盗犯にとって格好のターゲットになりかねません。
そこで、今回は、大規模修繕工事中の盗難を防ぎ、安全に工事を進めるための具体的な対策を、管理組合が実施しやすい方法を中心に解説します。
大規模修繕中の盗難を防ぐには?
資材置き場は施錠し整理整頓する
資材置き場は、盗難の主要な標的となります。
そのため、頑丈な鍵付きの倉庫を使用し、常に施錠することが重要です。
さらに、資材は種類ごとに整理整頓し、必要なもの以外は保管場所から撤去することで、盗難リスクを軽減し、作業効率の向上にも繋がります。
置き場の周囲に防犯カメラを設置するなどの対策を併用すれば、更なる効果が期待できます。
また、資材の搬入・搬出は、記録を残すことで管理を徹底しましょう。
工事関係者以外の立ち入りを制限するには
工事現場への無断立ち入りを防ぐためには、明確な境界線を設け、関係者以外立ち入り禁止を周知徹底することが重要です。
フェンスやバリケードを設置し、警告看板を複数箇所に掲示することで、心理的な抑止効果を高めることができます。
さらに、警備員を配置することも有効な手段です。
ただし、警備員の費用は高額になるため、予算や工期の状況に合わせて検討する必要があります。
監視カメラとセンサーライトの設置
監視カメラとセンサーライトの設置は、抑止効果の高い防犯対策です。
高画質のカメラを選び、死角をなくすよう複数箇所に設置することで、より効果的な監視体制を構築できます。
センサーライトは、不審者の侵入を検知して自動的に点灯するため、犯行を未然に防ぐ効果が期待できます。
設置場所の選定には、夜間の視認性や、カメラの死角を考慮する必要があります。
管理組合による定期的な巡回
管理組合による定期的な巡回は、比較的費用を抑えつつ効果的な防犯対策となります。
巡回の日時やルートを事前に決め、記録を残すことで、より確実な監視体制を構築できます。
巡回時には、資材置き場の状態や、不審な点がないか確認し、異常を発見した場合は、速やかに管理会社や警察に通報する必要があります。
巡回担当者には、写真撮影を行い記録を残すよう指示することも有効です。

大規模修繕と防犯対策を両立させる方法
防犯設備の設置場所を事前に計画する
防犯設備の設置場所は、工事計画段階で検討することが重要です。
工事の進捗状況に合わせて、柔軟に設置場所を変更できるよう、計画に余裕を持たせる必要があります。
また、設置場所の選定にあたっては、死角がないか、設置費用や工事期間への影響などを考慮する必要があります。
居住者への周知徹底で協力を得る
居住者への周知徹底は、防犯対策の成功に不可欠です。
工事期間中の防犯対策について、詳細な情報をマンション内の掲示板や回覧板、ウェブサイトなどで周知し、居住者の協力を得る必要があります。
具体的には、不審者を発見した場合の連絡体制や、資材の持ち出しに関するルールなどを明確に伝えることが重要です。
専門業者への相談で最適なプランを検討する
防犯対策は、専門業者に相談することで、より効果的かつ費用対効果の高いプランを検討することができます。
専門業者は、マンションの状況や予算に合わせて、最適な防犯設備や対策を提案してくれます。

防犯対策にかかる費用を抑えるには?
既存設備を活用して費用を抑える
防犯対策にかかる費用を抑えるためには、既存の設備を有効活用することが重要です。
例えば、マンションに既に設置されている防犯カメラや照明を、工事期間中に活用することで、新たな設備の購入費用を削減できます。
既存設備の機能や性能を確認し、必要な補修や更新を行うことで、費用を抑えつつ防犯対策を強化できます。
補助金と助成金を活用する
自治体によっては、マンションの防犯対策に対する補助金や助成金制度が設けられています。
該当する制度があれば積極的に活用することで、費用負担を軽減することができます。
事前に自治体のホームページなどで情報を収集し、申請に必要な書類や手続きを確認する必要があります。
まとめ
大規模修繕工事中の盗難防止には、資材管理の徹底、関係者以外の立ち入り制限、監視カメラやセンサーライトの設置、管理組合による定期巡回など、多角的な対策が重要です。
費用を抑えるためには、既存設備の活用や補助金・助成金の利用も検討しましょう。
専門業者への相談も有効な手段です。
これらの対策を組み合わせることで、安全かつ円滑な大規模修繕工事を進めることができます。